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スポーツを通じた挑戦と社会とのつながり

2025年7月4日

特定非営利活動法人 AAR Japan 講演会レポート

2025年3月17日(月)、特定非営利活動法人 AAR Japan [難民を助ける会]の皆さまに向けて、弊財団の代表・木村が「スポーツを通じた挑戦と社会とのつながり」をテーマに講演会を行いました。自身の競技経験を元に、パラリンピックの裏側やキャリアの転機、そしてスポーツが社会にもたらす可能性についてお話ししました。

パラリンピックの舞台裏から伝えたいこと

講演の中で木村は、パラリンピアンとして数々の国際大会に出場した経験を通して見えてきた、「舞台裏」についても紹介しました。

「パラリンピックの選手って、どんなイメージですか?」という問いに、会場からは「鉄人 ! 」「過酷なトレーニング ! 」といった声が。実際には厳しいトレーニングの一方で、選手村での文化交流やユニークな設備、食事の楽しみなど、選手の生活には意外な一面もあります。たとえば選手村では、各国が自国の施設を持ち込めるルールがあり、オーストラリアチームは「マックカフェ」を、日本は「味の素」の施設を持ち込んでいたというエピソードや、フランスの選手村で振る舞われた絶品のフランスパン、蜂蜜採取用の蜂の巣など、スポーツの枠を超えた文化交流の魅力も共有されました。

勘違いから始まった挑戦と、転機となった出会い

木村の競技人生は、“勘違い”から始まったと語ります。「障がい者水泳って、競技人口も少ないということは、ライバルも少ないし、すぐ世界一になれるんじゃ?」 そんな軽い気持ちで始めた競技でしたが、2002年にIPC(国際パラリンピック委員会)の大会に出場し、世界のレベルの高さに衝撃を受けました。

2005年、木村はオーストラリア代表のコーチのもとでトレーニングを行い、驚いたのは、オリンピック選手とパラリンピック選手が、分け隔てなく同じプールで練習していたことです。その中でかけられた言葉——
「足が使えないなら、使える人の2倍練習しなさい」

この一言が、木村の考え方を大きく変えました。
「自分にはできないことがある」ではなく、「できることを倍にすればいい」。
そうした発想の転換が、やがて“工夫する力”と“挑戦する姿勢”を育んでいきました。

「スポーツは社会を変えられるか」

2007年からは実業団選手として、競技と社会人生活の両立にも挑戦し、競技だけではなく、人とのつながりや社会との関わりを意識するようになりました。

2021年東京パラリンピック大会では6位入賞、2024年のパリ大会では8位入賞という結果を経て、木村は改めて「スポーツの価値」について考えを巡らせています。スポーツは、貧困や障がいなどさまざまな背景を持つ子どもたちにとって、新たな選択肢を与え、つながりをつくる大切な手段になります。

AAR Japanの皆さまとのディスカッションの中でも、「スポーツは政治を超える力を持っているのではないか」「もっと気軽に参加できる大会があってもいいのでは」といった意見が交わされ、スポーツの持つ“心を動かす力”にあらためて光が当てられました。

これからも、挑戦の場を広げるために

「必要としている人に届けること」。
講演の最後、木村はそう締めくくりました。

CAFでは今後も、スポーツを通じた社会課題へのアプローチを広げていくとともに、企業や団体の皆さまと連携し、「誰もがチャレンジできる社会」づくりに取り組んでまいります。

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